今日は会社の創業記念式典が執り行われた。
この創業記念式典は、毎年一回この時期に行われ、勤続年数10年、20年、30年の社員に対する永年勤続表彰と、社の推進するプログラムの優秀者への表彰が主たる目的だ。
出席するのは表彰対象の社員だけで、今回僕は【勤続10年目】ということでの初の式典参加となった。対象者は30人ほどだったろうか。普段は顔を合わせることのない支店の方がほとんどだった。
永年勤続表彰は時代の流れで減ってきていると聞くが、長年勤続を続けられている方、そして社のプログラムに積極的に参加して結果を出される方、素直にすごいと感じた。
その過程において迷いや葛藤、モチベーションが低下することも少なからずあっただろう。しかしその苦難に耐え、皆ここに立っているのだ。
自分の居場所を見つけ、環境に適応してきたのだ。その努力は賞賛に値するものだ。
僕は、果たして自分の居場所を見るけることはできなかった。
残念ながらこの環境に適応することはできなかった。
何度も自分の心に問いかけたが、追い求める環境や達成したい目標は、未来の『会社員である自分』の中からは見出すことはできなかった。
もしかしたら、式典に参加している社員の方の中にも、息苦しさや違和感を感じているものの、今の自分の居場所から飛び出すことへの不安や恐怖のほうが強いために、しかたなく留まることを選択し続けている人もいるかもしれない。
それもひとつの選択だ。もしそうだとしたら、その気持ちは痛いほど良く分かる。
永年勤続表彰の挨拶のお決まりとして、
ーまずはこれまで働けたことを、周りの人やその環境に感謝して欲しい。
ー勤続10年の人は20年を、20年の人は30年を目指して欲しい。
ーこれからも会社に貢献し続け、若い人たちを育てて言って欲しい。
といった文句が並ぶ。僕もそういう立場であったら同様の事を言うだろう。
しかしどうにも、この先10年20年この会社で働き続けるビジョンが見えてこない。
会社員として働き続ける自分の姿が想像できない。
僕にとっては、このまま会社員でいることのほうが恐怖なのだ。
僕は自分をもう会社員だとは思っていない。
周りの人間からすれば、まったくもって意味不明だろうが『心の声』がそういっているのだから仕方がない。仕方がないのだ。もう自分の『心の声』にしたがって生きると決めたのだから。
「この先の未来は潜在意識だけが知っている。」
・・・まったくもってクレイジーだ。
とりあえず、表彰状の他に数万円分の【旅行券】と【リフレッシュ休暇】なるものが支給される。
手渡された紙袋の中の旅行の冊子ばかりが気になって、式典にまったく集中できていなかったクレイジー野郎は、式典後の昼食会で出された高級弁当には舌鼓を打った。
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