先日、職場の方と話していた時のこと。
「今一番好きなこととか興味のあることって何ですか?」
この質問は僕の趣味のようなもので、話のきっかけとして、そして相手を知るうえで有効活用している。人は自分にしか興味が無くて、自分に興味がある人のことが好きなのだ。良い悪いではなく、そういうものなのだ。この質問をして、答えてくれなかった人には遭遇したことはない。皆少なからず喜んで答えてくれるのである。
その方は、歴史建造物を見たり、古い絵画を見たりするのが好きだそうだ。仰るに『本物』を見たり触れたりすることが重要なことなのだそうだ。
本物かどうかはわからないが、質の高いと感じるものや自分がとりわけ価値を感じるものについては積極的にアプローチすべきだとは常々感じている。
何に価値を置くかは人それぞれだが、その体験・経験が自らに良い影響を与えてくれることは理屈を抜きにしても感覚的に分かる。
「では、歴史とかって昔から興味があったんですか?」
その方は中学校の頃はやんちゃしており、特に日本史の授業などまともに受けたことなどなかったのだそうだ。ただ暗記するだけのテストにも全く興味が無かったのだと。しかし、今のその方の興味は当然ながら本物であり、歴史や偉人・武人、仏教などについての知識は熱心に勉強されたであろうことは、話を聞いていて感じる。
「何か好きになるきっかけみたいなのがあったんです?」
質問攻めである。昔は学校をサボってまで受けたくなかった歴史の授業。何かきっかけがあったはずなのだ。それをこの手で解き明かしたかった。燃えていた。
きっかけは歴史漫画【花の慶次】なのだそうだ。戦国時代の傾奇者として名高い「前田慶次」の生きざまを描いた作品である。
本人は、パチンコから知ったのだと言っていたが、その華々しくドラマティックな戦国の世界に次第に魅了されていったのだとか。そこから日本の歴史に興味を持ったのだそうだ。
学校の授業では全く興味を抱くことはできなかった日本の歴史、それが一つの漫画作品との出会いでこんなにも人を変えてしまうのだ。このことは非常に興味深い。
子供の学校教育の中で、学力を発揮する子の傾向として、もともと知能指数が高かった子よりも、学習に対する動機付けがうまくいった子が成績が伸びやすいのだそうだ。
いかにそのことに興味を持たせられるか、重要性や必要性を感じさせられるか、そしてもともと持っているその感情を引き出せられるかが、能力を発揮できる鍵となるのではないかと考える。
これは当然大人である我々にも言えることで、自分の好きなこと、興味のあること、自分に向いていることをやった時にこそ、その人の能力は爆発的に開花し、他の誰にも生み出すことのできない価値を創造しうるのではないだろうか。そして逆に、社会や会社に縛られ、周りの環境に流され、やりたくないことを我慢してしているかぎり、能力も生産性の向上も見込めない。
始めるのに遅すぎるということはない。今、自分がうまくいっていないと感じる人は、たまたま今やりたいことをやっていないだけなのだ。自分の好きなことを思う存分やって、自分の能力を最大限に発揮し、人生を楽しむべきである。
読んでいただいてありがとうございます。